発達障害
「自分には無理」という意識を変える
どうせ僕（私）には無理だから。プロ家庭教師のジャンプで指導を行っている発達障害（ADHD・LD・アスペルガー症候群など）を持つ生徒さんの多くは、指導を開始した当初はこのように話します。
それぞれの生徒さんが持つ症状によって、苦手なことは変わってきます。しかし、自分の持つ発達障害によって周りにいる人(兄弟や友達など)と同じように出来ないことが辛い、またはそのこと自体は気にしていなくとも、「○○ちゃんは出来るのに何であなたは出来ないの？」とご両親や先生に責められることが辛いと感じる気持ちは、多くの生徒さんが経験していることです。そうして自信を無くしていった結果、「自分には無理なんだ」と思い込んでしまうケースが非常に多く見られるのです。
勿論、暗記障害を持つ生徒さんに、歴史や生物などのどうしても用語を覚えなければ点数を取れない科目のテストで100点を取ってきなさい、というのは無茶な話でしょう。しかし、私達がテストに絶対出る用語を厳選し、それだけを覚えるように指導をすれば、一定の点数を取ることは充分可能なのです。ここで大切なのは、生徒さんの特徴を正確に把握すること。そして、その上で生徒さんに合わせた指導を行い、「自分だってやれば出来るんだ」と感じられるように導くことです。
例えば、以前担当していた生徒さんの夏休みの宿題で、休み明けに大きな漢字テストがあるのでその勉強をしてくるように、というものがありました。その生徒さんは暗記系の学習障害（LD）を持っていたため、宿題を見て一言、「まぁ僕には漢字覚えるのとか無理だしね」と言いました。100点どころか、最初から勉強すること自体を諦めてしまっていたのです。その諦めを払拭させるために、ある作戦を立てました。
まず、宿題の漢字練習プリントは見ることも嫌がっていたため、お母様に許可を頂いた上でプリントを持ち帰り、そのプリントの問題をパソコンで打ち込み直して、「家庭教師の授業での漢字の勉強」という体を取ってプリントをやってもらいました。その時は３～４割くらいの正解率でしたが、きちんと答え合わせをし、正しい読み方・書き方を教えた上で、書けなかった漢字を宿題に出しました。
次に、再びプリントを持ち帰り、間違った問題だけをまとめて順番も変えて作り直し、次の授業でそれをやってもらい、また答え合わせをして宿題を出した上でプリントを持ち帰りました。３回目くらいで、生徒さんが「この漢字この前もやったじゃん！書けなかったやつ！」と言い始めました。そう、その言葉を待っていたのです。「そうだよ、この前は書けなかったけど、『この前書けなかった』ってことを○○君覚えてられたじゃん。『何でもすぐに忘れちゃう』って言ってたけど、書けなかったこと覚えてたじゃん。それなら絶対この漢字覚えられるよ。」そう伝えると、その生徒さんは「あ、ホントだ……」と言って、前回何故書けなかったのか、何を間違えたのかを思い出そうとしてくれるようになりました。
それを繰り返して、間違いが殆ど無くなってきたところで、学校の宿題として出されていた方のプリントをやってもらいました。最初は嫌がっていましたが、「問題をよく見てごらん？これとかこれとか、書けるんじゃないかな？」というと、「あ、これなら書けるかも……」と言って最後まで解いてくれました。結果は約８割。初回に比べて随分点数を伸ばしてくれました。そこで本人に、授業中にやってもらっていたプリントが実は宿題プリントを元にしていたこと、最初は３～４割しか出来ていなかったけれど今回は８割も取れたことを伝え、「○○君は勉強すれば漢字書けるんだよ」と話すと、その日出来なかった漢字の復習を宿題で出してくれるよう、自分から頼んできてくれました。その後、休み明けのテストでは何と96点を取ってきてくれた上に、「２問間違えた」と悔しがっていて、とても最初に「漢字なんて無理だから」と諦めていた子と同じだとは思えませんでした。
このように、プロ家庭教師のジャンプでは、一回一回の授業、また家庭学習を通じて、「自分には無理だ」と諦めている生徒さん達の意識改革が出来るよう努めています。生徒さん達に「解けた嬉しさ」と感じてもらえるよう、これからも精進していきたいと思います。
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