発達障害
リズムに合わせて楽しく学ぶことばの指導

• 日常会話に支障はないが読み書きの学習が苦手
• 見る・書くだけの学習ではなかなか覚えられない
• 家庭学習の成果が出ず親子の間でのストレスが大きい

など就学を機に読み書きの学習が本格化するにつれ、学校の授業の進度についていくことが困難となり、これから先どうしようかと悩まれているご家庭のお話をよく聞きます。プロ家庭教師のジャンプでは、生活の基礎となる文字の読み書きも子どもたちの得意な分野と連動することで習得していく指導を行っています。

私の受け持った生徒にも、ひらがなやカタカナを覚える段階で、周囲より時間がかかり、学校の授業についていけなくなっている子がいました。毎日夕食後はひらがなとカタカナの練習をしているんですが、特に伸ばすことばがなかなか書けるようにならないんです。「学校の宿題どころではなくて…。」と文字の練習に時間を取られ、学校の授業や宿題にまで手が回らず、どうしようかとご家族も頭を悩ませていました。「何回も練習するんだけど、すぐ忘れちゃう。」と生徒も練習したことが結果につながらないことに少しやる気を削がれている様子でした。

そこで「毎日書くだけの勉強ってつまらなくない？勉強するなら楽しい方が良いよね。」とリトミックの要素を取り入れたリズム打ちをしながらことばを習得していく方法を提案しました。「ことばはリズムだよ。歌を歌うようにリズムに乗って覚えよう！」との問いかけに「歌うの好きだから楽しそう！」と意欲的な答えが帰ってきました。ことばの学習の際には、より一層吸収しやすいように、見て、読んで、書くことに加えて、リズム打ちをしながらことばを音読するといった方法も取り入れます。たとえば、「アイスクリーム」といった伸ばす言葉を学習する場合、まずは、アイスクリームの伸ばす部分の声と表情を強調して発音しました。次に、発音に合わせて手をたたきました。アイスクリームは、タタタタタータというリズムになります。この時も伸ばす部分のリズムを大きく手拍子するなど強調してあげることで、文字を書くときに注意を向けやすくなり、気付きに繋がりやすくなるように工夫しました。

勉強するぞとやる気があるのは良いことですが、つい構えてしまって、その気持ちや姿勢がストレスになってしまうことがあります。しかし、歌やゲームを覚える感覚で、好奇心に満ちた学習した子どもたちは、自然と気が付けば正確な知識が身に付いたことを体感します。このことは、学年が上がり、学習内容が進んでも、勉強への抵抗を軽減させる貴重な経験となります。

普段の家庭学習にも取り入れられるように「今度は○○ちゃん1人でやってみようか。先生と一緒にやったように、手をたたきながらやるとできるよ！」と自立した学習に向けて生徒に促してみました。最初は「え、1人でやるの？もしわからなかったら先生も手伝って！」と不安げな様子でしたが、いざ始めてみると「スカート、コート、スープ…」と発音に合わせてリズム打ちをし、確認する作業に集中していました。始めた頃には書けなかった伸ばす音が入ったことばも「先生、できた！」と助けを借りることなく、自分の力で書けるようになりました。「○○ちゃん、すごいね！1人でできるようになったね。宿題もお願いして大丈夫だね。」と早速次回までの宿題として、伸ばす音の入ったことばの書き取りプリントを渡しました。1人でできたことで自信がついたのか、まじまじと宿題の内容を眺めていました。

ご家庭からは「宿題のプリントを渡すと1人でやっていました。これまで付きっきりだったので、こんなに早く手が離れるとはと驚いています。」と子どもの自立と宿題に追われる生活から解放されたことに安堵されている様子でした。生徒の苦手とするところも、生徒の得意な部分と連動させることでできることが増えていくといったサポートをしていきたいと思います。