不登校
不登校生の登校は？

今まで多くの不登校生と向き合ってきた中で、一部に共通して起こってしまう問題についてお話ししようと思います。その問題というのは「登校してしまう」ということです。

私は自分自身がいじめにあった話を、不登校の生徒さんに、ほとんどの場合出会ったその日に話します。彼ら、彼女らにとって、目の前にいる人物が「どうせ自分の苦しみ何か解ってくれないだろう他人」から「同じ苦しみを乗り越えた先輩」に変化するのが表情から解ります。目の前にいる、いじめを克服した人間の話を聞いて、彼らは「自分も変われるかも知れない」と思うようです。実に1/3～半数の生徒さんが、ご入会から１ヶ月の間に登校してしまいます。

ここまでは非常に素晴らしいことです。しかし、多くの場合学校生活は2カ月ほどしか続きません。一定期間が経過すると、彼らは不登校に戻ります。何故か。そもそも彼らは、気持ちだけではどうにもならない理由・原因があるから不登校になったのですが、その原因が一切解決していないからです。

不登校生を支援する際に重要なのは、「登校出来ること」ではありません。本人の状況を理解・把握し、本人がそれを克服して成長することです。あくまでも本人の意思でそれを行う必要があり、他人の影響や他人の強制では、真の解決は見込めません。不登校の生徒さん一人ひとりが、自分の足で一歩を踏み出すまで、決して言ってはいけない言葉があります。それは「がんばれ」です。何故か。彼らは彼らなりに、既に頑張っているからです。頑張りを認めた上で、毎日一つずつ、飛べそうな高さのハードルを置いてあげたいものです。