プロ家庭教師コラム

不登校
不登校の受験対策

去年の秋、私は一人の生徒さんを担当することになりました。当時中学3年生だった彼は中2の夏休み明けから約1年間、不登校の状態でした。友人関係でのトラブルが原因だったようです。受験までわずか半年しか時間が残されておらず、親御さんも相当焦っていらっしゃいました。生徒さん本人も、中学では充実した生活をおくることができなかったので、なんとか自分に合う高校、信頼できる友人を作って、高校生活を充実させたい、だから限られた受験までの時間、勉強を頑張る、と意気込みたっぷりでした。勿論、今まで全く勉強をしてこなかったので本当に今からで間に合うのかという不安、焦りもあるようでした。

そんな状況の生徒さんに私が最初に言ったことは、まず部屋の整理をすることでした。

不登校で、なおかつ部屋に引きこもりがちになっていたせいか、部屋全体がかなり荒れていたということが第一にあるのですが、そもそも部屋の整理をすることは、不登校児に限らず、どんな生徒さんに対しても実はとても重要なことなのです。

なぜならば、部屋の整理をすることで勉強の効率を上げることができるからです。部屋が整理されていない、机の上が散らかっている状態だと、「さあ勉強するぞ」とイスに座っても、そこから教科書やプリントを探す作業に時間が取られて、勉強に取り掛かるまで数分間、無駄な時間が生じてしまうからです。ただ数分間無駄になった、というのではありません。この“勉強に取り掛かるまでの数分”が、いろんな意味で弊害になるのです。

最も注目すべきは、勉強でも仕事でも、「段取り」が全てだということです。これから何分間、何をどのように勉強して、何を出来るようにするのか。その明確な目標なしに勉強しても得られるものは少なく、達成感も持つことができません。その「段取り」の中の「時間管理」「空間管理」への意識が、最初に生じる数分間で失われてしまうのです。

また、「勉強に取り掛かるまでの時間が短い程、勉強量は多くなる」とも言われています。準備に数分かかってしまう状態は、すなわち勉強への意欲が他のことに奪われている状態ともいえます。逆に、部屋が整理されていると、問題集、筆記具などを探す時間が短縮されるため、その分勉強の時間を多く取ることができます。だから、最初に部屋の整理に重点を置くことが大事なのです。

肝心の勉強ですが、置かれている状況から、授業並行をして定期テスト対策をするのではなく、受験勉強のみに特化することにしました。不登校のため出席日数が完全に足りておらず、私立高校に絞って対策をしていくことが決まっていたので、定期テスト点を取り内申を上げる必要性がそこまでなかったからです。科目は英語、数学、国語の3教科。

3教科全てをどのように指導したのかは細かく言うとキリがなく、ここでは割愛させて頂きますが、簡単に述べますと、例えば数学に関しては生徒さんの志望する高校の過去問を分析し、過去問に載っている問題の類題だけを行いました。宿題の出し方は、その類題を、授業後五日以内に解いてもらい、次の指導時までにはやった問題が完璧に定着できているようにしました。1回90分の授業で何が出来るようになったのか、そしてそれは入試問題のどの部分で、配点がどのくらいあるのか、どのくらいの時間配分で解くことができるのか、などを、問題一つずつ、丁寧に説明していきました。

国語などは読解問題を授業中に行いました。まず生徒さんに問題を解いてもらい、間違えている部分がなぜ正解ではないのか、生徒さん自身に解説をしてもらいました。正解の理由ではなく、間違えた理由を本人に気づかせることで、同じミスをなくすことが目的だったのですが、これはかなりの成果が出ました。宿題に関しては、小説や詩などの作者や時代を問われる文学史の問題や、漢字の読み書き、四字熟語の意味を覚える、などの一人でも暗記できるものを中心に出しました。

アフターケアとして、宿題に出した所を10点満点の小テストにし、そこで間違えた部分は再度宿題に出し、また間違えたら宿題、の繰り返しで10点満点になるまでやり続けました。毎回小テストをするので、満点取れない状態が続くと、その分だけ小テストの枚数も積みあがっていきますから、本人も必至で取り組んでくれました。

また、試験慣れをする為に北辰を受けることも促しました。北辰は、埼玉県の私立高校を受けるときの併願確約もしくは単願確約の目安になっていて、北辰である程度のレベルに到達すると併願や単願の確約につながるからです。また、北辰テストにより試験に慣れることができ、志望校が安全圏になると自信につながり勉強の意欲高めることが可能になるからです。公立は完全に志望校から外していたこともあり、北辰の志望校は全て私立で埋めさせました。これは実は公立高校を目指す場合にも有効な手段なのですが、その話はまた別の機会にさせていただきます。

不登校の生徒さんは、他人と接する機会が少なく、そのため情報もあまり入ってこないため、保護者の方含め、常に近い将来への不安を抱えております。そういった生徒さんに対して、不登校だから何か特別なことをやる、ということはしません。もちろん不登校の原因は生徒さん一人ひとり異なりますので、特別な対応が求められる場合もありますが、この生徒さんは高校に入りたいという熱意があり、それに向けて勉強を頑張りたい、ということでしたので、高校に入ってからの勉強にもつながるであろう「勉強のやり方」「勉強に対する考え方」など、全て勉強に関する指導だけをしてきました。題名にある「不登校の受験対策」という言葉を見て、何か特別なことをしているのだろうと期待されて読まれた方もいらっしゃるかと思いますが、私はただ「勉強そのもの」のみを教えただけです。そういった指導法もあるのだ、ということをお伝えしたく、今回このようなコラムを作成いたしました。(最終的にその生徒さんは晴れて第一希望の高校へ合格でき、今でも月に数度、メールで近況報告などをし合える関係でいます)

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プロ家庭教師のジャンプは理想的な家庭指導を目指し、生徒1人1人に合わせた指導カリキュラムや、矛盾のないシステムが高い評価をいただき各ご家庭から92%という高い満足度をいただいています。本ページに掲載されている「アンケートの回答」は、ジャンプに入会したご家庭から実際にご回答いただいたアンケートの一部です。ストレスを抱えることなく学習習慣を身につけるために。生徒さんの学力を伸ばす、ジャンプのプロ家庭教師をぜひご活用ください。