不登校
見えない敵

不登校になってしまう要因は様々ありますが、その中には「特に理由は無くなんとなく」というものもあります。学校での人間関係に悩んでいるわけでもなく、勉強が嫌になったというわけでもなく、本当になんとなく行かなくなるというものです。ただ、こういったケースの場合でも、不登校の引き金となることはあります。それは、ふとした周りからの言葉、しかも意外なことに、身近な人からのものではない言葉であることがあるのです。

近頃ではLINEやfacebookなどのSNSの普及により、学校の友達だけでなく、まったく会ったことのない人たちと繋がりを持つ生徒さんも少なくありません。良い影響を与えてくれる人ばかりであれば良いのですが、中には悪い影響を与えてしまう人も残念ながら存在します。「学校行かなくても別に困らないよ」「親や先生の言いなりになってはいけない」。こういった言葉は思春期の子供にとって魅力的で、新しく、何かすぐれた価値観のように感じられることがあり、それが不登校を助長したり長引かせたりする要因となるケースもあります。

そういった時に私たち家庭教師が出来ることは、生徒さんに直接会って話ができる存在として、今まで考えもしなかった、学校へ行くことや勉強することの意義や価値観を与えることです。当たり前のように学校へ行って、そして勉強することに疑問を持ってしまった生徒さんには「とにかく学校へ行きなさい」「勉強しないと将来困る」などという一般論では、心を動かし行動に移させることは不可能です。もちろん一人ひとり心に響くことは違います。「あ、そういう考え方もあるのだな」という新しい価値観を、会話などのコミュニケーションを通して与えてあげることが私たちの役割だと思っています。会ったこともない「見えない敵」の並べる巧言令色はまったく中身のないもので、生徒さんに良い影響を与えるわけがありませんから、大事な将来のためにせめて私たちが良い方向へ導いていきたいのです。

生徒さんと共に新しい見方や考え方を見つけることが、学校への復帰の後押しとなるだけでなく、その後の人生の道標となってくれればそれに勝ることはありません。