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がんばった記憶を生徒の財産に

2012年度から学校の教科書も変わり、いわゆる「ゆとり教育」が終わりを迎え、小学〜高校に在籍する生徒さんの学習環境に大きな変化が訪れています。そのような中で、ひとりひとりの学力を分析し、生徒さんの学習に対する能力を上手に引き出すプロ家庭教師の指導が注目されています。経験豊富なプロ家庭教師のマインドとは?なぜ、プロ家庭教師が指示されているのか?長いキャリアを持ち数多くの生徒さんと1対1の自宅学習に取り組んできた、プロ家庭教師の鈴木先生にお話を伺いました。

ゆとり教育の終わりとプロ家庭教師の需要

先生はいままで何人くらいの生徒さんを指導しましたか?

10年近くキャリアがありますので、50人以上は指導してきたと思います。小学生と中学生がほとんどで、私立、国立、中高一貫校などの受験生を指導することが多かったです。

数年前と現在で何か「違い」を感じることはありますか?

数年前よりも現在の生徒さんの方が「自然と机に向かえる」習慣があるように思います。ただ、受け入れは素直な分、瞬発力みたいなものは弱くなってきたのかなと。いざという時にがんばれる力は、数年前の生徒さんの方が多かった気がします。

受験生についても「違い」はありますか?

受験生に関してですが、数年前と違って最近では早めに準備をされるご家庭が増えてきているように思います。以前は受験直前まで何もしないで、突然思いたったように受験対策に取り組むといったケースが多かったんですが、ここ最近では1年以上受験対策の塾に通っている生徒さんなど早い段階から受験に対して取り組んでいるといったケースが増えてきました。受験対策の塾にずっと通っているけれど塾のペースについていけずフォローをするというケースや、受験に取り組んできたけれど追い込みや仕上げとしてプロ家庭教師が指導するというケースです。いずれも早い段階から受験の準備をされるご家庭が増えています。

いわゆる「駆け込み寺」的に、直前だけ指導するケースは少ないですか?

傾向として早めに受験の準備する生徒さんが増えていますが、直前の受験対策のご依頼もないわけではありません。「半年くらい前から一緒に勉強できたらよかったよねぇ」なんて話を生徒さんとすることが多いですが…。直前ではなく、できるだけ早めの段階からプロ家庭教師の受験対策を考えていただきたいとは思います。

塾と家庭教師の指導を両方受けられるところが多いですか?

色々です。塾に通い続けながら私の指導を受ける生徒さんもいますし、いままで塾に通っていたけれど、塾の方はやめて家庭教師1本にする生徒さんもいらっしゃいます。

ゆとり教育が終わったことによって生徒さんの学習環境に変化を感じますか?

そうですね。教科書も厚くなりましたし。例えば、いま大学生の家庭教師でも習ったことのない内容が入ってきたり。生徒さんの学習する幅も広くなりましたが、私たちプロ家庭教師が指導のために準備する範囲も広くなりました。家庭教師が生徒さんに指導する場合、自分が中学生や高校生の頃の経験を糧に学習方法のノウハウを教えることになるんですが、これからは自分が知らないような内容が課題になるわけですから、教える方も指導のための学習が必要になってきます。

教える方の変化ですが、それはとても大きな変化だと思います。ジャンプのプロ家庭教師は孤立した派遣教師ではなく、すべて社員で成り立っていますから、プロ家庭教師同士で情報交換して、新しい学習内容に対応しています。ある意味、付け焼き刃的な指導では追いつかなくなる。そういった意味でも、ゆとり教育が終わったことでプロ家庭教師の需要がさらに高まるように思います。

中学受験対策と「忘れない」指導

先生は中学受験を控えた生徒さんを多く指導されたと伺いましたが…

中学受験対策が目的で、指導のご依頼を受けることは多いです。多いときで5人くらい同時に指導していたこともあります。

中学受験を控えた生徒さんは、勉強ができる生徒さんの方が多いですか?

割とそうですね。勉強は毎日するもの。そういう風に普通に考えている生徒さんが多いと思います。

そうすると勉強嫌いな生徒さんはいないですか?

いや…。正直に言うと勉強はみんな嫌いです。嫌いですけど、目的をきちんと理解した生徒さんはがんばります。志望校に合格するという目的と、それを実現するための目標は生徒さんと共有するようにしています。学校のテストで何点とる、友だちに負けないようにする、とか、動機は何でもいいんですが、学習するためのやる気につなげるというか。

なるほど。目的意識で学習の成果は違ってきますか?

例えば公式ひとつ覚えるのも、単語ひとつ覚えるのも、目的意識がないと全部抜けてしまうというか。学習したものが「抜けやすい」か「抜けにくい」か。「忘れてしまう」か「忘れない」か。それは目的意識があるのとないのでは、とても大きく違うんですね。学習した内容を忘れないでいられる生徒さんは、目的を軸にがんばれている生徒さんです。「勉強」と「ご飯」って一緒なんですよ。子供は大人にご飯をつくってもらいますよね。つくってもらったご飯は、夕べ食べたものは覚えていられるんです。だけど、1週間前に食べたものまでは覚えていられないですよね。勉強の場合とよく似てますよね。

意識していないと忘れてしまうということですか?

そうです。プロ家庭教師の指導は1週間に1回だったりしますから、1週間前のご飯を覚えていないように、1週間前の学習内容も忘れてしまう。自分から得た情報ではなく大人から与えられた情報だと、どうしても忘れてしまうんです。何のために勉強してるか、何を目標にがんばっているかを言葉にして、それを意識してもらいながら学習に取り組むことで「忘れない」でいられるんです。そういうことは、すごく意識して指導しています。

意識その場限りではなく、「忘れない」ための指導の工夫があるんですね。

同じ目線のプロ家庭教師

指導期間が終わった後、生徒さんとは?

指導した生徒さんからメールをもらうことがよくあります。「高校でいま○○してます」とか「あけましておめでとう」メールとか。大学合格の知らせだったり、就職の知らせだったり、生徒さんからメールをもらうことはたくさんありますね。

生徒さんに慕われてますね。まるで学校の先生のようですね。

ありがたいです。もちろん、しょっちゅう連絡を取っているわけではなく、指導後に連絡をくれるのは女子生徒ばかりですが、指導期間が終わった後でも連絡をくれたりするのは、教師としてとても嬉しいことです。

連絡をくれる生徒さんは、どのくらいの期間教えてましたか?

1年弱だったり、中学1年から3年までだったり、ケースによって色々です。指導の期間が長かったわけでもないのに、ずっと連絡をくれる生徒さんもいますし。

指導期間が長かったケースはありますか?

指導期間の長さで言えば「3歳から小学3年生まで(6年間)」というケースがあります。

6年間?一般的な家庭教師と比べたら、かなり長い期間ですね。

ご両親からは「大学受験までよろしくね」なんて言われてますが。現在は算数と国語を教えています。3歳から教えている生徒さんに弟がいて、そちらも指導させていただいています。

驚きました!ものすごく信頼されているんですね。プロ家庭教師がご家庭から信頼されて生徒さんの指導をまかせられるというのは、もちろん学力面で成果を出せる指導力があるからだと思うんですが、鈴木先生の人柄というか、そういった部分も各ご家庭で評価が高いのではないでしょうか。ご家庭からの信頼を得るために、何か努力されていることはありますか?

小学生の子供のいるご家庭の場合、生徒さんよりもお母さんの方が歳が近いので、話が合うというか安心感を持っていただけてると思うんです。ですが、生徒さんの方からすると自分と親との中間地点というか、そういう立ち位置に思ってもらえるようです。生徒さんが自分の親について愚痴を話したり、何でも話せる中間の立場というか。そういう気を遣わないでいられる立場がプロ家庭教師のいいところかもしれません。生徒さんといるときは生徒さんと同じ目線で話し、ご両親の相談についてはご両親と同じ目線で相談に乗る。もしかしたら、そういうことが信頼につながっているのかもしれません。

がんばった記憶を財産に

多くの生徒さんを指導されてきた先生にとって「教えること」というのはどういうことでしょうか?

算数や国語を教えたり、受験対策として学習方法を教えたり、私が生徒さんのためにしていることは「勉強を教える」ことなんですが、勉強をするということ以外にも大切な意味があると思うんです。指導期間の半年とか1年に、生徒さんがどれだけ「がんばれた」かが重要で、そのためにプロ家庭教師がサポートしているという意識で指導しています。ある期間に本気で何かに取り組んで一生懸命努力した経験って、将来絶対に役に立つと思うんです。部活や習い事と同じかもしれませんが、幼い頃や10代の頃にがんばって何かを成し遂げた記憶って、社会に出てからもきっと大きな励みになるし自信につながるはずです。勉強が好きな生徒さんはあまりいないですけど、勉強に一生懸命取り組んで、自分に自信をつけてもらいたいんです。そのために生徒さんにがんばってもらうし、私もがんばる。だから、私は「優しい先生」でいるつもりはないんです。(笑)

なるほど。志望校に合格することや、自分の成績が上がっていくことで得られる自信。何より「自分は、やればできるんだ」という実感が勉強に向かうことで得られれば、生徒さんにとって大きな財産になるのかもしれませんね。