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プロ家庭教師ができること

明治大学在学中にジャンプの家庭教師や塾の講師を経験し、教育職員免許を取得後、ジャンプのプロ家庭教師として多くの生徒さんに指導してきた島田先生。最近ではより高いレベルの志望校合格を目指すケースだけでなく、学校の授業についていけないケースや不登校に悩むご家庭などに、プロ家庭教師を必要とするケースが高まっているようです。プロ家庭教師の指導で学力はどう変化したのか?また、家庭学習においてプロ家庭教師に何が求められているのか?豊富な経験の中で感じたことなどを交え、プロ家庭教師の島田先生にインタビューしました。

教職を目指しプロ家庭教師へ

島田先生は明治大学在籍中にジャンプで家庭教師をされていたんですか?

はい。大学時代の4年間ジャンプの家庭教師をしていました。家庭教師の他に塾の講師もしていました。

なぜ、ジャンプの家庭教師を?

私は教職に就きたかったので。大学卒業後に教育の仕事をすることを考えたら生徒に勉強を教えるということを、学生の間に少しでも多く経験してしていたかったんです。実際、卒業後にジャンプに入社してプロ家庭教師をすることになったので、その頃の経験はもの凄く役に立ちました。

学生時代、ジャンプと塾で何を教えていたんですか?

家庭教師では全教科、塾でも全教科です。塾では数学の教師、国語の教師という風にその教科だけを教える場合が多いのですが、家庭教師の場合は全教科をカバーしていないといけないので、広範囲の知識が必要になります。ちなみに塾では公立校入試を控えた中学生を教えていました。家庭教師と塾では、学習のリズムも指導方法もまったく違うので、その違いを理解する上で塾で講師として指導したことが非常に貴重な経験になりました。

塾と家庭教師の指導は、そんなに違いがあるんですか?

「学力をアップさせる」という点ではもちろん同じですが、塾の場合複数の生徒さんを一定のレベルにアップさせることが前提になっていますから、ある意味一方的な「講義」にならざるを得ない。講師の持っているノウハウを伝える、とうニュアンスですね。厳密に言うとひとりもれなく一定のレベルにすることはできないので、レベルに追いついてこれない生徒をどこかで諦めないといけないという妥協があります。できないところをそのままにしてしまう、これは塾というシステム上、仕方のないことなんですが。一方、家庭教師の学習は教師と生徒との相互関係で成立するので、一方的に教師からノウハウを提供するのではなく、状況を見て「引き出す」ということができる。もちろん1対1の個別指導塾というのもありますが、どこか緊張感の漂う塾のテーブルで勉強するのと、慣れ親しんだ自宅にある自分の机で勉強するのとでは、環境がまったく違いますよね。

なぜ、プロ家庭教師を必要とするのか?

いま、島田先生が受け持っている生徒はどんな生徒たちですか?

現在指導している生徒さんは、小学生3名、中学生5名、高校性5名の計13名です。最近始めた生徒さんもいますし、姉弟で受け持っている生徒さんや3年近く継続して指導している生徒さんもいます。指導している時間は平日学校が終わった後の夜間か週末のどちらかです。

どういったタイプの生徒が多いですか?

いま受け持っている生徒さんもそうですが、過去担当した生徒さんたちを振り返っても、「勉強がうまくできない」生徒さんの割合が多いです。もしくは「勉強ができるけれども、テストで点がとれない」といったケース。こういったケースでプロ家庭教師を希望される方が一番多いです。あとはやっぱり「受験」ですね。受験は子供にとって大切なイベントですから、ご両親が「失敗したくない」という強い思いで通常の家庭教師よりもハイレベルなプロ家庭教師にサポートしてほしいと思うのは当然だと思います。

学校の授業についていけないという悩みを抱えている生徒もいますか?

ひとり、左半身麻痺という重度の障害を抱えている生徒さんを受け持っていて、彼の場合養護学校に通っていても学校の授業にはついてけません。こういったケースの場合、できるだけストレスや負担の少ない家庭教師による指導が必要になってきますが、やはり本人のことを考えて大学生よりも安心できるプロの家庭教師に任せたいというご両親の思いがあります。ジャンプのプロ家庭教師は臨時で雇った社会人ではなく全員ジャンプの社員ですから、そういった意味で厚い信頼をいただいています。しかも持病や障害を抱えている生徒さんの場合、勉強ができるできないということの前に、人と接することや社会人として仕事をしていけるのだろうか?といった共通の悩みが各ご家庭にあります。私の受け持った生徒さんには2年間通常の勉強を教えていたんですが、ご両親の希望でいまではパソコンの使い方を教えています。非常にイレギュラーなケースですが、こういった柔軟な対応ができるのも「プロ家庭教師ならでは」と感じています。もちろん、学習方法やテストで点をとるためのノウハウを指導することが家庭教師の役目ですが、教育者として生徒さんと関わる以上、私たちプロ家庭教師ができることは勉強を教えることだけではないと思っています。

なるほど。そういったケースもあるんですね。中学、高校の受験のためにプロ家庭教師をつけるご家庭が多いというのは聞いていますが、障害を抱えた生徒をサポートする役割をプロ家庭教師が担えるというのは理解できます。こういったケースで悩んでいるご家庭もきっと多いでしょうから、プロ家庭教師ならではの柔軟な対応が、今後も必要とされるんでしょうね。

プロ家庭教師の指導で学力向上

プロ家庭教師に指導を受けると、大学生の家庭教師の場合よりも成績がアップするのでは?と期待してプロ家庭教師を希望される場合が多いと思うんですが、実際にテストで点がとれて成績がよくなるんですか?

もちろん、成績がよくならないとプロが担当する意味がないですからね。はじめは大学生の家庭教師をつけていたけれど成績がなかなか伸びずに、プロ家庭教師へ移行するというケースもよくあります。状況によって指導方法を考えますが、プロの場合、短期間で成果を上げることが基本的な考えになっていますから、多くのご家庭で高評価をいただいています。

具体的に成績が伸びたという例はありますか?

たくさんあります。過去担当した生徒さんの中には、大学生の家庭教師の指導からプロ家庭教師に移行して、1ヶ月の指導で中位以下だったのがクラス1位になった生徒さんもいました。2年以上指導を継続している生徒さんで育伸社の全国模試で1位を取った生徒さんもいます。

それはすごい!ところで、学生とプロの場合で指導時間(長さ)は違うんですか?

1回の指導時間は同じですが、学生家庭教師の場合「週2回」で希望されるご家庭が多く、プロ家庭教師の場合は「週1回」で希望されるケースが多いです。

では、学生からプロに移行した場合、指導時間は短くなるケースが多いんですね。指導時間が半分になって成績が伸びるというのはすごいですね。

指導時間は短くなっても成果を上げる。そこがプロの腕の見せ所になります。週2回くらいのボリュームをいかに1回の指導に凝縮させられるかというのも重要になりますし、短い時間での段取りや説明能力が強く求められます。短い時間の中で効率よく説明し、生徒さんが自分で問題を解く時間をつくり、問題をクリアしたことを実感してもらう。この繰り返しを生徒さんのペースを理解しつつより多く進められるのか、というのが私たちの技術だと思っています。週1回の指導だと、次に会うまでに1週間あいてしまいますから、その間に学習が途切れないように課題を与えることも重要です。

成績を上げるために、意識していることはあるんですか?

成績を上げるということは「テストで点をとる」ということですから、そういったことは意識して指導しています。テストでいい点をとれないと、本人のヤル気にも大きく影響がありますし、テストでいい点をとるなんてある意味当たり前の目的意識なんですが、指導する教師がそういう基本的なことをしっかりと意識して指導方法に取り組んでいかないと、上がるはずの成績も上がりませんからね。

不登校生徒にプロ家庭教師ができること

ご両親からよく相談を受けると伺いましたが、相談する相手が学生の家庭教師とプロ家庭教師でその内容も多少違うんでしょうか?

勉強に関する狭い範囲でしたら、学生の家庭教師でもご両親にお応えできると思いますが、進路相談やメンタル面の話になると経験豊富なプロ家庭教師に相談したいというご家庭は多いようです。もちろんプロ家庭教師の仕事は生徒さんを指導することがメインですが、ご両親が抱いている不安や悩みの相談を受けることは、プロ家庭教師ならではの大切な仕事だと考えています。

学校の先生には言いにくいことも、プロ家庭教師になら話せるというのもあるんでしょうね。

そうですね。成績をつける学校の教師ではなく、ご近所の知り合いとも違う。そういう立場のプロ家庭教師になら相談しやすいというのもあるでしょうね。ジャンプには私のように学生時代家庭教師を経験した上で社員として継続しているプロ家庭教師が他にもいます。学生の家庭教師と比べると圧倒的に担当してきた生徒さんの数が違いますから、様々な事例からアドバイスをすることができます。ですから、遠慮なくどんどん相談していただけたらと思います。また、私たちが指導させていただく生徒さんは、一般には反抗期と呼ばれる多感な年齢にあたるので、親ではなく第三者から見た子供のことを聞きたいというのが、ご両親の気持ちだと思います。

時には深刻な悩み相談というのもあるんですか?

以前、生徒さんが不登校になりそうだという相談を受けたことがあります。本来は学校の教師としっかり話すべき内容ですが、ご両親としても学校の教師には言いにくい。「うちの子を客観的に見てどうですか?」と心配されていました。

不登校を自宅の指導で克服できるんですか?

不登校だった生徒さんが学校に行くようになったという例もありますが、学校に行きたくない理由が学校自体にある場合もありますし、根本的な解決をするのはプロ家庭教師の役割ではないと考えています。ただし、生徒さんが不登校になった場合、学校の授業がなくなることで勉強が遅れてしまい、メンタル面を解決して学校へ通い出したときに、他の生徒との学力の違いにショックを受け、再度不登校に戻ってしまうという危険性があります。学力の違いは不登校の生徒さんの自信を著しく奪ってしまいますから、仮に不登校になったとしても絶対に学習をストップさせてはいけないんです。

勉強の遅れは、不登校に拍車をかける危険性があるんですね。

はい。プロ家庭教師が不登校児童に指導を行うのは学力の低下を防ぐこと。それと、もうひとつ重要な意味を含んでいるんです。ほどんどの不登校は対人関係に原因がありますから、対人関係に拒否反応を起こし、親や兄弟といった最低限の人間関係しか受け付けないようになります。けれどそれでは社会との接点がなくなってしまう。社会との接点とは人との接点、それも家族ではなく他人との接点なんです。かと言って自分のネガティブな部分をよく知っている友達や先生とは接したくない。年齢も近くない方がいい。その点、プロ家庭教師の場合、生徒さんとの距離が年齢も立場もほどよく離れていますし、関係も真っ新な状態からスタートするので気持ちが楽なんです。しかもプロ家庭教師は他人なので、立派に社会の接点と言えます。勉強という共通の目的を持ってプロ家庭教師と一緒に机に向かうことが、不登校児童にとって非常に大きな意味を持つことになると思っています。

プロ家庭教師としての学習

様々な生徒さんに指導を行う上で、何か心がけていることはありますか?

私たちプロ家庭教師は、高校教師のように1教科を担当すればいいというわけではなく、全教科を教えられることが求められます。それも小学から高校までの範囲で。その広い範囲をしっかりフォローしていないと指導はできないので、大変ですが日々勉強するようにしています。

確かにそれは大変な準備ですね。

生徒さんから質問されて答えられないようではダメですからね。私の場合、英語の教員資格を持っていますが、指導内容はもちろん全教科。学生の頃、少し苦手だった教科も勉強し直したり、プロとしての努力が必要です。休日に受験生に混じって図書館で勉強したりもしますよ。

受験生に混じって? それはすごい…

指導する立場でありながら指導するために勉強もするので、勉強する生徒さんの気持ちもわかります。生徒さんの気持ちがわかれば、指導する時のタイミングや力の入れどころ、抜きどころを敏感に察知することができるようになります。だからプロ家庭教師が勉強し直すという行為は、知識を復習するだけでなく、いい指導に直接つながる行為でもあるんです。

他に気をつけていることはありますか?

当たり前のことですが「健康管理」でしょうか。生徒さんにとってプロ家庭教師の指導の時間は、凝縮された大切な時間です。体調を崩して予定している指導に支障があるといけないですからね。あと、生徒さんに風邪を移したら大変ですしね。幸い10年間野球で鍛えた体は自慢できるほど丈夫で、過去無欠勤です。他にはテレビや雑誌から話題になりそうなことを憶えて、生徒さんとのコミュニケーションに役立てたり。スポーツ、ドラマ、音楽など。勉強も大切ですが指導はやっぱり人対人。話題収集は無意識にしているような気がします。まさに「コミュニケーションの予習」ですね。